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――これからはディスカウントの時代でない、値下げは古い旧世紀のやり方だと、自己を全否定してしまうのが、凄い。そういうことを私淑するような方がいるんですか?

「セブン-イレブン・ジャパンの鈴木敏文会長は、卓越した凄みがあります。絶対に商品に妥協しない。ある時ね、売り出されたばかりのカレーパンを食べて『なんじゃこらあバイヤーを呼んで来―い!』と怒り出したと。それでバイヤーが飛んできて『お言葉を返すようで申し訳ないですけど、このカレーパン、とてもよく売れています』と言ったと。ほんなら余計怒り出して、『こんなまずい物ようけ売るなんて、とんでもねえ、セブン-イレブン潰す気か、即刻、全部破棄しろ!』って怒鳴ったんだそうです。そっから2ヶ月くらいしたら、今みたいに具が大きくなってふっくらした商品になった。昔のカレーパンって、ぐっしょりペチャンコだったじゃない。みんなそういうもんだと思ってたけど、それから日本中の、地方小売店のカレーパンも、みんなプッと浮いたパンになったんよ。普通だったら『売れてます』言われたら『じゃあその調子で頑張れよ』で終わる。でも鈴木会長は、「なに、売れてる~!? こんなおいしくないもん売れるなんて冗談じゃない!」。それが凄みよ。商売人の、凄み」

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矢野博丈氏(株式会社大創産業 代表取締役) 早川さや香のプロフェッショナルの唯言(ゆいごん) 宅ふぁいる便